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終わりを見据えて。「妻、小学生になる」の作品紹介 / 考察


「妻、小学生になる」という作品の魅力を紹介します。

泣きたい時にオススメなマンガで、特に「家族モノ」に涙腺が弱い方には超絶おススメです。

僕は初めて、マンガの一話を読んだだけで泣きました。読み始めて10分で泣けるマンガです。

妻、小学生になる。 1 (芳文社コミックス) | 村田椰融 |本 | 通販 | Amazon

 

あらすじ

このマンガの主人公は40代後半のおっさんで、「圭介(けいすけ)」さんといいます。

10年前に奥さんを交通事故で亡くしてしまい、それ以来は自らの人生に意味を見いだせず、死んだような毎日を過ごしてきました。20代中盤~後半の娘(麻衣)もいるのですが、娘も定職についておらず、自宅に引きこもっている状況です。家庭内の雰囲気も暗く、毎食コンビニ弁当を食べるような味気のない毎日を過ごしていました。

そんなとき、家のインターホンが鳴ります。玄関のドアを開けると、小学生の女の子が仁王立ちしていました。

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女の子は無表情で「ただいま」と言います。圭介のおっさんは当惑し、「どこか他の家と間違えているのでは?」と言うと、女の子は「私はあんたの妻だ!!」と高らかに宣言する…

みたいな展開です。
亡き妻が小学生に 願い託された夫は…作者が「タブー」に挑んだ理由

10年前に死んだ妻が、生まれ変わり、小学生として家に戻ってくる。そんな妻との交流を通じて、家族での時間を取り戻すことで、圭介のおっさんや娘が、生きる活力を取り戻していく、、というストーリーです。

 

本作品の魅力

本作品の魅力は、1話目で泣けることです。1話目で泣いた漫画は初めてです。

久しぶりに再会した次の日、小学生になった奥さんが愛妻弁当を渡してくれます。
主人公は、会社の昼休みにそれを食べながら、もう二度と会えないと思っていた奥さんに会えたことをようやく実感して号泣する。そのシーンで、何度でも泣けます。


ただ、圭介さんが小学生になった奥さんに「本当に戻ってきてくれてありがとう!俺はお前だけが全てだったんだ!」と言うと、

奥さんは「嬉しくない。私が死んで、あなたが腑抜けになったせいで、娘のマイの人生を狂わせている。ホントは、あなた達には私の死を乗り越えていて欲しかった。もし私に感謝しているのなら、私がいなくても進んでいけるっていう、姿勢と未来を見せてよ!」と主張します。

妻との再会を喜び、再び家族との時間を取り戻そうとする圭介さん。生まれ変われたことを喜びつつも、自分なしでも生きていくことを期待する奥さん。



そう。この物語は1話目の段階から、なんとなく最後のシーンの展開が示唆されているのです。「この奇跡の関係性には、絶対に終わり」が来て、その時、圭介さんは絶望して引きこもるか、それでも前を向いて生きるかの二択を迫られて最終的に、前を向いて生きることを選択する…という展開が、うっすら想像できるのです。

最後にもう1つ。このマンガでは家族同士の交流がどこまでも優しく、温かいものとして描かれるのですが、これは「関係の終わり」が見据えられてるからだと思います。

我々は「この関係がずっと続く」と思ってしまうと、相手に対して自分勝手で傲慢な態度を取ってしまいます。恋人にしても家族にしても、友人にしても。


でも「関係の終わり」を見据えることで、相手にとって優しくなれる。

このマンガを読んでいると、特に主人公の圭介さんが「奥さんであったり、娘さんとの関係の終わり」を常に意識していて、恐怖しています。そしてだからこそ、どこまでも優しくあることができることを強く感じます。

家族の温かさ、大切さに触れながら、やがて訪れる終わりを見据えて、一瞬一瞬を大事に生きていかねば…と感じさせてくれるマンガでした。

「ピッコマ」というマンガサイトで初めは無料で読めますので、是非ご一読ください!

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