馬場です。
今回は王道マンガ、ワンピースについて。
10代や20代の頃は、「仲間の絆の大切さが分かるバトルマンガ」くらいに思っていたのですが、30代になって少し見え方が変わってきたという話です。
結論だけを先に書くと、30代になると『ただ壊すだけの麦わらの海賊団』ではなく、『今ある秩序の矛盾に葛藤しながらも、少しでも世界を豊かにしようとする海軍』に共感するようになった…という話です。
ワンピースという物語の流れは、基本的に以下の繰り返しです。
・ ルフィ率いる『麦わらの海賊団』が新たな島に到着する
・ その島では『既得権益を持つ敵キャラ』が歪みのある秩序を作っており、人々は苦しんでいる
・ 『海軍』は歪みがあることに気づきながら、何もできない
・ 最終的に『麦わらの海賊団』と『既得権益を持つ敵キャラ』が戦い、ルフィが敵ボスを打ち倒す
・ 島は平和を取り戻し、人々は豊かになる
始めに「明らかに歪んだ世界の在り様」をこれでもかと丁寧に描き、そのあとで「ルフィがぶっ壊すことで世界が豊かになっていく様子」を描く。そこに読者はカタルシスを、爽快感を感じる。
これがワンピースという物語の面白さの源泉だと思うのです。。
ただ、30代になって僕が年をくったのかもしれませんが、ルフィなどの海賊団のような「ただ己の願うままに突き進む / 気に入らないシステムは壊す」というスタイルでは、現実的には社会を変えられないと思うのです。
もし本当に「社会を豊かなものに変えたい」と願うならば、ただ壊すだけでは十分でなく、より社会を豊かにするコンセプトを提示し、自らの手で実行する必要があります。
もちろん、その実行過程では多くのヒトを不幸にする必要があります。既存のコンセプトと何とか折り合いをつけながら、努力を重ねて成功している人もいる訳ですから。。(物語上は描かれないですが)
自らが新たなコンセプトを提示することなく、「ただ気に入らないものを暴力によって壊せばよいんだー!」みたいな価値観は、現実社会ではなかなか受け入れられないよな…と思うのです。
それならむしろ、物語の上では窮屈な存在として描かれる海軍の方が魅力的ではないでしょうか。彼らは天竜人が支配する「理不尽な世界の秩序」を受け入れた上で、その前提条件の中で少しでも世界を豊かなものにしようと努力しています。
いわゆる日本のサラリーマンみたいですよね。ただ、彼らは旧来型のコンセプトを受け入れてしまっているので、劇的な変化は起こせない。新たなコンセプト提示から実行までを行うチカラはない訳です。
ただ、ワンピースという物語が面白いなと思うのは、どうやらルフィ達のような海賊団とは別のロジックで動いているプレイヤーが、いくつか存在していることです。
多くの海賊団がワンピース(ヒトつなぎの財宝)を求めて、ラフテルを目指す一方で、シャンクス海賊団や白ひげ海賊団、革命軍などは、別の目的の元で活動しているように見えます。
もしかすると、ルフィたちがラフテルに到着した瞬間を境にテーマが変わり、「壊すだけでは何も変わらない社会に対して、どうアプローチすればよいのか?」に対する解を導いてくれるような物語になる…のかもしれません。だったらいいなと。
『30代になると「ワンピース」の見え方が少し変わってくる』というお話でした。
ではでは。
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